
中小企業の役員が社用車を使う時の注意点2026
この記事の要点
- 社用車の私的利用は記録がないと給与認定リスクがある
- 走行記録と按分精算、社内規程の整備が基本対応になる
- 規程づくりから運用開始までおおよそ数週間を見込むとよい
中小企業の役員が社用車を使う場合、業務利用と私的利用の線引きが曖昧だと、税務調査で給与認定を受けるリスクがあります。結論として、利用実態の記録を残し、私的利用分は役員への経済的利益として扱う前提で制度設計することが重要です。
この記事では、社用車を役員が使うときに起きやすい誤解と、経営者・担当者が押さえておくべき判断ポイントを整理します。なお、本記事は実務の考え方を紹介するものであり、個別の税務判断は税理士や国税庁の情報で確認してください。
役員の社用車利用で何が問題になるのか
中小企業では、役員が営業や取引先訪問に使う車を会社名義で購入し、そのまま通勤や私用にも使っているケースが少なくありません。この「業務と私用が混ざった状態」が、税務上もっとも指摘を受けやすいポイントです。
会社が負担した車両費やガソリン代、保険料などは、本来は事業に必要な経費として損金(税務上の費用)に算入できます。しかし私的利用分が含まれている場合、その部分は役員への給与とみなされ、役員報酬の追加認定や法人税・所得税の追徴につながることがあります。
私的利用とみなされやすい具体例
判断に迷いやすい場面を、先にいくつか挙げておきます。
- 休日や夜間に家族の送迎や買い物に使っている
- 通勤だけで、業務での使用実績がほとんどない
- 走行記録や業務日誌を残していない
- 高級車やスポーツタイプなど、業務の必要性を説明しにくい車種を選んでいる
これらに複数当てはまる場合、調査の際に「実質的に役員の私物」と判断される可能性が高まります。逆に言えば、業務での使用実態を客観的に示せれば、こうした指摘は受けにくくなります。

業務利用と私的利用をどう切り分けるか
線引きの基本は「誰が」「いつ」「どこへ」「何のために」使ったかを記録することです。特別な設備がなくても、次のような方法で対応している企業があります。
走行記録・利用簿をつける
出発日時・目的地・訪問先・走行距離を簡単な表やノートに記録するだけでも、業務利用の実態を示す材料になります。クラウド型の勤怠・経費管理ツールに走行記録機能がついているものもあり、手入力の手間を減らせる場合があります。
私的利用分を按分して精算する
業務と私用が混在する場合、走行距離や使用日数の比率で按分し、私的利用分に相当する金額を役員が会社に支払う、あるいは給与として課税処理する方法が一般的です。按分の考え方や計算方法は会社ごとに事情が異なるため、顧問税理士と相談しながら社内規程を作っておくと運用がぶれにくくなります。
車両の選定基準を明文化する
車種やグレードの選定基準をあらかじめ社内規程で定めておくと、「業務上必要な範囲か」を説明しやすくなります。高額な車両を役員専用で導入する場合は特に、業務上の必要性との整合性を確認しておくことが望ましいです。
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社用車を新たに導入する、あるいは既存の運用を見直す際は、次の手順で進めると判断がしやすくなります。
1. 現状の利用実態を棚卸しする(誰が、何のために使っているか)
2. 業務利用と私的利用の比率を大まかに把握する
3. 社内規程(利用ルール・記録方法・按分の考え方)を整備する
4. 顧問税理士に税務上の扱いを確認する
5. 運用開始後、記録の有無を定期的にチェックする
このプロセスにかかる時間は、車両の台数や利用者数にもよりますが、現状把握から規程づくりまでおおよそ数週間程度を見込んでおくと無理がありません。規程を作って終わりではなく、半年〜1年に一度は運用実態を見直す仕組みにしておくと、記録の形骸化を防ぎやすくなります。

記録や判断にデータ活用が役立つ場面
社用車の利用実態を記録・按分する作業は、件数が増えるほど手作業では負担が大きくなります。走行記録や経費データを一元管理し、利用比率や異常値(極端に私的利用が多い月など)を可視化する仕組みを作ると、管理担当者の負担軽減と税務リスクの早期発見の両方につながりやすくなります。
こうした「データを集めて意思決定に使う」仕組みづくりは、BIツール(データを集計・可視化してダッシュボードやレポートにまとめる仕組み)の活用場面の一つです。社用車に限らず、経費全般の管理や承認フローの見える化に応用できる考え方でもあります。
まとめ
役員の社用車利用は、業務と私用の線引きが曖昧になりやすく、記録を残していないと税務上のリスクにつながる可能性があります。走行記録をつける、私的利用分を按分する、社内規程を整備するという基本を押さえたうえで、具体的な税務判断は専門家に確認することが大切です。中小企業庁や国税庁の情報も参考にしながら、自社の実態に合った運用ルールを作っていくことをおすすめします。
こうした社内データの管理・可視化の仕組みづくりに関心がある場合は、まず無料カウンセリングで、何から始めるかを一緒に整理するところから検討してみてください。中小企業庁の情報もあわせて確認しておくと、制度面の理解がより深まります。
よくある質問
- Q. 役員が社用車を通勤だけに使っている場合も問題になりますか
- A. 業務での使用実績がほとんどなく通勤専用になっている場合、私的利用とみなされやすくなります。業務上の利用実態を記録し、必要性を説明できるようにしておくことが望ましいです。最終的な判断は税理士に確認してください。
- Q. 私的利用分はどのように精算すればよいですか
- A. 走行距離や使用日数の比率で按分し、該当分を役員が会社に支払う、または給与として課税処理する方法が一般的です。按分方法は会社の実態に合わせて税理士と相談しながら決めるとよいでしょう。
- Q. 高級車を役員用の社用車にしても問題ありませんか
- A. 車種自体が直接問題になるわけではありませんが、業務上の必要性を説明しにくい車種は税務調査で指摘を受けやすい傾向があります。選定基準を社内規程で明文化しておくと説明がしやすくなります。



